ほどほどに映画好きのためのサークルHEC

名画座活動報告

以下名画座幹事K太君記載のページとなります。

K太のシネマパラダイス“92回アカデミー賞授賞式にまつわるエトセトラ”

『談話室開設』の巻

「アカデミー賞授賞式のパブリックビューイング当たったんですよ!
せっかくだから名画座LINEでアカデミー賞トピックを広げたいんだけどどうでしょう?」
「昔から言ってますけど、そんなに喋りたいなら会話用のグループLINEを作るべきです。
HEC名画座LINEはあくまで告知用なので」
そんな裏方LINEでのやり取りを経てHEC名画座用の談話室グループLINEを試験的に開設。
アカデミー賞授賞式の2日前の事である。
「地方にいくとなかなか映画を話せる機会がないので、こういうのずっと待ってたんですよ!」
という広島県に去年転勤になったK島さんの参加の際のひと言がとても嬉しかった。
因みに時系列が前後するが先日はK島さんが尾道にある海辺『東京物語』の記念碑を写真で
アップしてくれたり、他参加者も最近見た映画をざっくりレポートしたりなど、
程々にコメントは更新されている。
といった感じで反響は思ったよりあって、発足7人。上々だと思う。
「自分もパブリックビューイングのチケットぎりぎり手に入ったんで、参戦レポートしますよ!」
という裏方Nの電撃参戦表明も重なり、いよいよあの歴史的瞬間に立ち会う舞台は静かに整っていった。
(“談話室 in HEC名画座”グループLINEに参加したい人はいつでもお待ちしてます!
既存の参加者に招待してもらって下さい。2020.2.16現在、参加者数10名)



『アカデミー賞授賞式当日』の巻

イベント所要時間8:00~15:00。
場所は六本木ヒルズ内のTOHOシネマ六本木。
要は映画館でのライブビューイングである。
そして裏方NとK太の掛け合いによる弾幕実況LINEの火蓋が切って落とされた。
ざっと200コメぐらいはいっただろうか。
授賞の超速報はもちろんのこと、次々出てくるプレゼンターの名前
(今回の授賞式はメイン司会者不在!!)
や控室の時計のメーカー名まで、カメラが追う全ての映像や情報を一つも見落とさぬようレポート。
ときに映画コメンテーター町田智浩の誤報に四苦八苦、ホアキンフェニックスの知的で意味深な受賞スピーチ、
これってエミネム本人?
それとも太ったそっくりさん?
という様々なアカデミートラップに振り回されながらもめげずに真実を追い続けた裏方NとK太の約360分強。
そしていよいよ大トリの“アカデミー賞作品賞”が発表され、あのタイトル名がコールされた瞬間、
我々は映画のまた新たな歴史の1ページを目の当たりにするのだった!!



『パラサイト』の巻

「parasite!!」
‟マジか” ‟けつ浮いた” ‟パラサイト”
K太は35年の生涯において初めて映画館で前のめりになって叫んだ。
たしかに他のHECメンバーが『1917』を大本命に置く中で、
一貫して去年から『パラサイト 半地下の家族』をあらゆる場面で推し続けてきたものの、
いざ現実になると言葉を失う。
外国映画賞、脚本賞、監督賞、そして作品賞を韓国映画が獲った。
この背景にはここ1~2年でアカデミー会員が6000人からアメリカ国外中心に8000人へと増加。
その差票がこの黒船を後押ししたものと言われている。
でももっとこの勝因の根幹にあるのは韓国の“国策としての映画制作”にある。
90年代の終わりから韓国は国家資金でアメリカに映画製作者を積極的に留学研修させ、
ハリウッド式映画制作を体得。
そして00年代、世界を驚かす韓国映画が次々に発表され、ハリウッドリメイク化も何度もされた。
その時から中核にいる最重要人物が何を隠そう『パラサイト』の監督脚本ポンジュノだ
(その横には盟友の怪優ソンガンホもいる)。
「もはや我が国の映画は完全に韓国に抜かれてしまったのだよ」
と当時“日本映画界の鬼軍曹”が悲しそうに自分に呟いたのも思い出した。
そんな韓国映画が気になりだしたそこのあなた!!
3月28日開催予定のHEC名画座をお楽しみに^_^
以上、ちょいちょい宣伝織り交ぜたアカデミー賞レポートでした。

前任者K氏曰く
「この授賞式というイベント自体がそこら辺の長編映画観るよりも断然面白いよ!」
には激しく同意。
みなさんもいつかぜひご体験下さい〜





以下名画座幹事N氏記載のページとなります。

<1月度HEC名画座『波止場』>

1月3日 新春告知
HEC名画座開催日は第92回アカデミー賞授賞式の約2週間前。
それに因んで第27回アカデミー賞作品賞受賞作『波止場』を 上映することを
名画座グループLINEにて告知。


1月11日 定例会
名画座参加者募集PRの時間をいただいたが、既に酒が回り足元がふらついていた。
「理不尽なことに立ち向かったことのある方、耐え忍んだことのある方。
つまり、全ての方々の心を揺さぶること間違いなしの不朽の名作ですので是非ご参加ください!
懇親会はたこ焼きパーティです。
たこ焼きパーティの方に興味を持たれた方は、
ついでに上映会にもご参加下さい。
今までにない素晴らしい映画体験をお約束します。」と声高に叫んでいたような気がする。
毎度のことながらハードルを上げ過ぎた。


上映作品告知後、参加予定者からいくつか嬉しいお言葉をいただいた。
M本さん「名画座らしい作品が来ましたね」
⇒後で気づいたのだが、これまでHEC名画座で上映した作品で 最も古い作品は
1956年公開の『知りすぎいていた男』。
『波止場』は1954年公開なのでHEC名画座史上最古の作品となる。
これまで集客面を不安視し、半世紀以上前の作品の上映には二の足を踏んでいたが、
M本さんの言葉は今後の励みとなった。
Yさん「Nさんが選ぶ作品は毎回、普段自分から観ないようなタイプの作品ばかりなので興味深いです」
⇒正にそれがねらいなのです!
HEC名画座での鑑賞が新たな扉を開くきっかけとなることをいつも願っております。


1月25日 HEC名画座
受付には『波止場』の受賞にちなんでオスカー像
(のような像)と 金獅子像をアルミホイルで巻いた銀獅子像を展示した。
反応は薄かった…。
会場に参加者が続々と来場される中、Sさんがライダースジャケットに
ジーパンという『乱暴者』のマーロン・ブランドのようないでたちで登場。
みんなの注目を集めた。さすがだ。


上映会開始
上映前に昨年日本で公開されたある映画が『波止場』のラストと酷似していることを紹介した。
一体その映画とは何か?答えは上映終了後のお楽しみ。


上映終了
震えた。凄い。前回観たのは20年ほど前。
しかもVHS。散々煽っておきながら実は自分自身の心に響くかどうか半信半疑だった。
しかし、そんな不安は冒頭で早くも吹っ飛び、ラストには跡形もなく消え去った。
私のうまく言葉にできない感動を伝えた後、Mさんから次回2月22日(土)開催のHEC名画座上映作品の告知。
初幹事ながら私と違って淀みなく上映作品『汚れた血』の魅力を紹介してくれた。


懇親会開始
誰かが「『波止場』にかけて「タコパ」ってことですよね」と推測していたことを思い出し、
そのままパクって「『波止場』の後は「タコパ」で楽しみましょう」と乾杯前の挨拶をした。
見事にすべった。
乾杯後、3台のタコ焼き器をフル稼働。
焼き上がりを待つ間、皆様から頂いた差し入れやM子さんお手製ケーキを美味しくいただいた。
そんな中、タコ焼き器2台をつないでいた電源で不具合発生。
電気業者にまで出動していただき、何とか復旧
。無事タコ焼きはできあがった。
タコ焼きをつつきながら映画談議に花を咲かせた。その一部を紹介したい。

「やっぱり名作」
「映像による示唆と余白が絶妙」
「赤狩りで葛藤したエリア・カザン監督自身を投影している」
「ストーリーがシンプルで普遍的なうえ、個性的な顔立ちの俳優が多く、
 全員キャラがたっていたので入り込みやすかった」
「マーロン・ブランドが冒頭の気怠そうな顔つきからだんだん精悍な顔つきへと
 変化していったように感じた。意図的なメイクだろうか?」
「冒頭に兄を殺されたイディーの怒りと悲しみに満ちた表情で一気に惹きこまれた」
「ドアのチェーンロックをテリーが根元から破壊してイディの部屋に侵入し、
 強引にキスをし始めたら音楽が止まるというシークエンスに驚きのあまり笑ってしまった」
「神父は口先だけで解決のためにはあまり役に立っていない。結局対立を煽っただけのような…」
「テリーがイディに真実を告白するシーンであえて汽笛の轟音でセリフをかき消し、
 2人の表情だけで表現する演出が素晴らしい」
「車中の兄弟の会話はほとんどアドリブらしい」
「鳩を殺したのは一体誰?」
皆様の豊かな感性による奥深い感想や豊富な知識に裏打ちされた鋭いご指摘。勉強になった。

ところで、上映会前に紹介した『波止場』ラストと酷似した映画とは…?
ここでタイトルを明かしてしまうと、ネタバレになるのでインド映画だという情報だけに
とどめておきます。


懇親会終了
今回はタコパというHEC名画座懇親会史上初の試みながら器具持ち寄りから買い出し、
差し入れ、調理、後片付けに至るまで参加者の皆様の協力姿勢や手際の良さには頭が下がるばかりだった。


3次会
近くの居酒屋で
閉店の0:00頃まで映画談議から恋愛観まで気の向くまま楽しく喋って飲んで無事終了。


最後に
参加者の皆様、裏方チームの皆様、そしてTCC試写室スタッフの皆様、
私の拙い進行とすべり芸を温かく見守っていただいたうえ、 最大限のサポートを
いただき、ありがとうございました。
次回以降も厳選を重ねた上映作品と楽しい企画を
ご用意しておりますので、よろしくお願い致します。

1月度HEC名画座幹事 N

********************


K太のシネマパラダイス
~メタル映画鑑賞会&映画BAR忘年会編~

2019年10月某日、とあるHECメンバーAさんから「ヤバそうな映画予告見つけました。
K太さんもご覧になるかなと思って(笑)」というLINEとリンクが突如届いた。
その映画の名は『ヘヴィトリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル!』
フィンランドから来たヘヴィメタルバンドを題材にしたB級コメディらしい。
あらすじを二回読んだけど単語と展開が意味不明過ぎて全然内容が想像できない。
これは観に行くしかない!それも誰かを道連れにしてだ!!

12月28日開催予定だったHEC名画座が中止になり、手持無沙汰だったこの日に狙いを定め、
11月の定例会がHEC初参加だったMGさん、HEC名画座常連のMYくんとYDくん、
そしてプロレス仲間でもあるYGくんという格好の生贄を4名従えて鑑賞に臨んだ。

会場はトゲトゲの黒ジャケット来てる人、思い思いのバンドTシャツ来てる人もいる一方、
女性映画友達でおバカ映画をノリで楽しみに来た感じの方々もいて多様な客層。

我々がみたシネマート新宿の14時の回はチケットSOLD OUT。
映画館らしからぬ熱気に包まれたまま本編スタート。
内容は本当に圧巻。
トナカイとデスメタルの悲哀をベースにした北欧ギャグが、 我々5人のB級映画スピリットに火を付け
爆笑につぐ爆笑。
応援上映会かと勘違いするぐらいの歓声と熱気。
エンドロールが終わると、ここは国際映画祭でも、
ましてライブでもないのに会場全体からは大きな拍手が沸き起こった。
上映後の物販はライブ会場さながらに大変な事になっており、 自分はシレっとパンフレットだけ買って帰った。

このムード、『カメラを止めるな!』の時に似てます。大ブームの予感!?

ヘヴィトリップの興奮冷めやらず10数分移動した後、
MYくんがおススメ&予約手配してくれた映画BAR“SHINJUKU FLUX SF DAINING&BAR”に5人で入店。
メニューの名前だけでなく、店内の装飾品も滅茶苦茶凝っていて、 ちょっとした映画展示会に来てるような
気分になる。
何の映画が飾ってあるかはネタバレ厳禁!ぜひ御自身の目でお確かめください。
予約個室がよりおススメ!
特にトイレは凄かったです。用を足すより写真撮るのに時間を要しました(笑)

因みに神田にも姉妹店があってMYくん曰く、展示物が双方でアレンジが異なるようです。


ハイテンションな空間で丸々二時間、野郎5人で映画談義にこってり花を咲かせた後、19時前に解散。
とても映画ファンらしい密度の濃い鑑賞会&忘年会となりました。
情報提供者のAさんとMYくんに心から感謝致します。

本文をご覧の皆様も良い映画納めを!
今年もよろしくお願いします!

HEC名画座支配人 K太より



以下名画座幹事K太君記載のページとなります。

2019年ありがとうございました。

令和元年11月度名画座『イン・ザ・スープ』
上映会25名
懇親会21名

皆様のおかげで年内最終のHEC名画座上映会&懇親会、無事に終える事ができました。
本当にありがとうございました。

自分が2代目支配人を襲名してから早5か月。
まずは運営チームの皆様に心から感謝します。
「この人、映画いっぱい知ってるし、感じが良いから声かけてみよう」
と赤羽の喫茶店で気楽に初代支配人K山さんと人選したにもかかわらず、
二つ返事でOKを頂き、今日まで自分の突飛なアイデアや頑固さに寛容でいてくれて、
なおかつそれを洗練してくれる姿勢と気遣い、本当にありがとうございました!
12月はゆっくり休んでください。

そして参加者の皆様!
今回もありがとうございました。
顔ぶれも初代K山さんから続く常連さん、
そこにK太体制からよく来て下さるようになった新規参加者が織り交ざって、
一つの集大成といえる密度の濃い回になったように思います。

自分も普段は浅草の裏路地でサービス業に従事している身なので、
胸を張って宣言させていただきます。

HEC名画座はめちゃくちゃ雰囲気が良いです!
参加者のみなさん、知的で優しい。明るい。
定例会よりもラフだけど独りぼっちが出来にくい懇親会のゆったり空間をぜひ体験してほしいです~

なのでこの文章を読んでいるHEC会員なりたて、
あるいはまだ名画座に来たことのないHECメンバーの皆様のご参加心よりお待ち申し上げております。
まだHEC名画座グループLINEに入られていない方!
グループLINE在籍者数180名オーバーを誇る大所帯なので、
定例会や他HECイベントで隣のHECメンバーに話を振って頂ければきっと招待に辿り着けるはず(笑)

名画座告知ほかに“ほどほどに”映画情報&トークが流れてきたりします。

最後に今回久方ぶりに幹事を務めて下さった“ドンコルレオーネ”K山さんへ。
お疲れさまでした。作品イメージにあったお洒落な懇親会会場選び…さすがのひと言でした。
生意気な自分にいつもお慈悲と大事なシマの一つを分けて下さり本当に感謝しております。
来年もこの縄張り、きっちり握らせて頂きます(笑)

とにかく多くの方に支えられて今年、HEC名画座支配人に就任して無事に4タイトルやれたこと、
それを通していろんなチャレンジが出来た事、自己成長出来た事、
そこに皆様が集って下さった事、そのすべてを愛おしく思います。有難うございました。

HECグループの皆様、来年もHEC名画座を応援よろしくお願いします。
皆様良いお年を!

HEC名画座支配人 K太より



以下名画座幹事A君記載のページとなります。

<10月度HEC名画座『天才マックスの世界』>

名画座支配人がK太氏となり、新しい上映会場を探す中、
私が初幹事をすることになり、他幹事と共にトルコ料理を食べながら案を出し合ったところ、
『天才マックスの世界』を好きだというメンバーが多く、
また監督のウェス・アンダーソンは今脂にのっている監督であるので、
映画初心者の人でも楽しめるだろうと思い、作品に選びました。
そして上映会場も新しい場所でやることになり、
両国にある「シアターZzz(ジィー)」で開催することになった。
そして両国ということで懇親会会場も
「相撲茶屋ちゃんこ江戸沢両国本店」でちゃんこ鍋を
4,000円で食べられるコースが設定できた。

10月26日(土)に開催が決定し、早速告知してみると約2時間で定員締切という嬉しい想定外。
やっぱり新しい会場が寝そべりながら、またお茶を飲みながら鑑賞できるから集客力があったんだなと思った。

そして当日。お茶の注文に時間がかかるということで、参加される方に早めに来てもらえるようにお願いし、
箱を借りている時間が短かったので、定時で上映できるように進めていた。
初めての会場で駅から遠いこともあって、K太氏と共に、会場外で道案内し、
時間内になんとか人が集まった。
さて後は上映するのみという時に、プロジェクターが動かなくなるという機材トラブル。
原因が分からず、別のプロジェクターで再設定することに。
名画座スタッフが何回か足を運んで調整したのに、まさかのオチ。
懇親会予約の時間の都合もあり、精神的にかなりヒヤヒヤした。
結局懇親会の時間を30分遅らせ、上映も定時の30分後にスタート。
参加者の皆さんは思い思いに会場のクッションを調整して、自由な姿勢で鑑賞を楽しんでいた。
無事に上映も終了。会場からお詫びのお茶がふるまわれた。

懇親会の時間も近づいたので、皆を連れ立って、ちゃんこ江戸沢へ。
4,000円でちゃんこ鍋+飲み放題のメニューで周りの皆も盛り上がっていたので良かった。
上映会について聞いてみると、『天才マックスの世界』について面白かったという意見、
また上映会でのお茶も美味しかったという意見が多かったので開催して良かったという想いを抱いた。
懇親会が2時間で終わり、その後は有志で2次会へ。
かなりの人数が2次会にまで参加。
2次会も盛り上がり、何人かはかなりべろんべろんに酔っぱらっていた。
でも映画の話でそこまで盛り上がれたのでそれでもいいと思ってる。

とにかく全体を通して無事に終えることが出来た。
他名画座スタッフ、参加者の協力もあって無事に終えられたこと、厚く御礼申し上げます。
名画座に関して楽しんで参加してくれる方たちがいるので、
今後も名画座スタッフ話し合いながら参加者の皆さまに喜んでいただける企画を考えていきますので、
よろしくお願いします。

10月度HEC名画座幹事A


以下名画座幹事K太君記載のページとなります。

“K太のシネマパラダイス~ウェスアンダーソン編~”

こんな店があった。

2014年に閉店してしまった清澄白河の幻のDVDレンタルショップ“Elephantastic(エレファンタスティック)”
門前仲町のパチンコ屋が職場だった20代半ば、その自転車通勤途中にあった清澄通り沿いにそれはあった。
「絶対『アウトレイジ』とかは置かないんです。怖い人苦手なんですよ~、ボクは」
自分で言って爆笑しながら話す店主はずっと笑顔の絶えない、実はぴあフィルムフェスティバルの
審査員も勤める様な映画人だった。

北海道でレンタルビデオ店員しながらお金を貯めて上京し、理想のレンタルショップを立ち上げたのが
エレファンタスティックだったという。まさに夢の城というやつだ。
店名の由来はたしか映画『Elephant』(2003、ガスヴァンサント監督)とfantasticを
足した造語だったと記憶している。

この店はみんなに愛されていた。
ホームパーティのようなイベントにも招かれたし、店のバックヤードでこっそり開かれた秘密のバーで
下戸の自分は辛いジンジャエールを飲みながら映画の話をたくさんしていた。
そこでとある有名映画俳優とも対談する機会もあった。

木目の棚に並べられていたのは映画ジャンルじゃなくて必ず監督名順に仕切られたDVDボックス。

「○○な気分なんで××な感じの映画が見たいんですけど…」
と尋ねると店主はそうですねえ…と言いながらカウンターを出て、嬉しそうに一緒にDVDを品定めしてくれる。
ガスヴァンサント、ヴィンセントギャロ、ペドロアルモドバル、ケンローチ、マイケルウィンターボトム、
アキカウリスマキ、ジムジャームッシュ、ヴィムヴェンダーズ…

店主はそれまでの自分になかった新しい映画の扉を次々と開けてくれた。
そして出会ったのがウェスアンダーソン『天才マックスの世界』だった。

ウェス作品の最大の魅力は“繊細で気弱な人々が、自分の大切なものを守るために見せるガッツと団結力”だと思う。その美しい爆発力にハマり、それ以降全部彼の作品はチェックしている。

ずっと通い続けていた愛しのお店だったが、職場が変わりその近辺に行かなくなったころに
風の噂で閉店を耳にした。
今は閉鎖されたが店主のブログには閉店最後の日をみんなでお別れパーティーをした記事が載っていた。
7年弱の営業期間、彼の夢の終わりを意味していた。

それから数年経った最近。
名画座運営チームの打ち合わせで今回の幹事Aさんが色々やりたい候補を挙げていき
『天才マックスの世界』の名前を口にした瞬間に
「俺もそれ大好き!みんながよければそれで決めたいんだけどどうだろう!?」
と強権発動して決めた。そして脳裏にはエレファンタスティックの想い出が過ぎっていた。

ウェス作品に例えるなら、自分にとってあの店はまさに『グランドブダペストホテル』。
いまやその名前は回顧録、遠い幻になってしまったけれど、ウェスアンダーソンの何かが動くたびに
思い出すだろう。
あの店主の笑顔と、濃密な映画空間、そしてほの辛いジンジャエールの味を。

2019年10月26日。僕は胸の内でそれらと戯れつつ、皆様との『天才マックスの世界』が
素敵な映画空間になりますように。

HEC名画座支配人 K太より



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